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アリとキリギリス

  1. 2008/05/01(木) 02:24:20|
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暑い暑い夏の日のことでございます。涼しげな草陰で、キリギリスが得意のバイオリンを他の虫達に聴かせておりました。すると、そこへ、大きな餌を背負ったアリがやってきました。体中が汗でぐっしょりと濡れていました。
 「おい、おい。こんな暑い日によくもまあそんなに働くものだ。ちょっと休んで、私の演奏でも聴かないかね。」
 「せっかくですが、私にはまだまだ仕事が残っております。」
 「何だね、その仕事というのは。」
 「寒い冬に備えて、蓄えをしておくという仕事です。」【F ShS =++ 和风 日语 www.jpwind.com 更多资源 更好服务 ++k^Ifig】
 「おいおい、冬はまだまだ先だ。人生楽しまなくっちゃ。」
 アリは、これ以上油は売れないと、自分より大きな餌を背負って歩いて行きました。キリギリスには、そんなアリの姿が哀れに思われました。

 秋は瞬く間に過ぎ、木枯らしが吹き始めたかと思うと、白い冷たい雪が、野原一面を覆いました。
 夏の間、のんきに演奏ばかりしていたキリギリスは、すっかり痩せ衰えて、寒さに凍えながら、雪景色の野原をとぼとぼと歩いておりました。空腹で、今にも倒れそうな様子でした。
 しばらく歩くと、キリギリスはアリの家にたどり着きました。息も絶え絶えで、ノックの音さえ、弱々しく響きました。

中から、アリの声がしました。
 「だれだい。こんな夜中にノックをするのは。」
 「私です。演奏家のキリギリスです。」
 「何だ、君か。どうしたんだい。こんな遅くに。」
 「実は、お腹が空いてたまらないのです。それに、凍えて死にそうです。」
 「ふうん、で、どうしてほしいと言うんだい。」
 「どうか、中に入れていただいて、食べ物を少し分けてくださらないでしょう か。」
 今にも消え入りそうな声でした。でも、アリはドアのカギを開けることはありませんでした。
 「あのね、君はね。夏の間、自分だけ涼しいところにいて、楽をしていただろう。私はね、その頃は、ずっと汗だくになりながら働いていたんだよ。」
 「はい、分かっております。あつかましいとは思いますが、このままでは死 んでしまします。どうか、中に入れてくださるだけでも???。」
 虫の息とは、こういうことを言うのでしょうか。でも、精一杯の声を出して、キリギリスは必死でアリにお願いをしました。が、
 「駄目だね。君にやる物は何も無いんだよ。」【Xk6!tU^++ 和 风 日 语 www.jpwind.com 更多资源 更好服务 ++Ve0@6yz】
と言って、とうとうドアを開けることはありませんでした。

 キリギリスは、諦めて冬の夜道をふらふらと歩いて行きました。でも、もはや限界でした。20cmは歩いたでしょうか。ばったり倒れてしまいました。
 それを窓から見ていたアリは、
 「しめしめ、思わぬ食料が手に入ったぞ。」
と言って、キリギリスの死体を家に運び込むと、地下の食糧倉庫に投げ入れました。

 ところが、しばらくすると、別のキリギリスがやってまいりました。アリは同じように冷たくキリギリスを追い返し、倒れたところを、舌なめずりをしながら、倉庫に投げ入れるのでした。実は、アリにとってキリギリスは大好物だったのです。
 3匹目のキリギリスも同じように、4匹目も、5匹目も、???。食糧倉庫は、キリギリスで一杯になりました。
 アリは冬は働きません。テレビを見るか、ビデオゲームをしながら1日を過ごします。そして、キリギリスのご馳走をたらふく食べては眠るだけの、たいへん単調な毎日を送っておりました。

 やがて、アリは丸々と太ってまいりました。皮下脂肪も中性脂肪もたっぷりと蓄えて、とてもアリには見えません。まるで、羽の無いミツバチではないかと思えるくらいの大きさになったのでありました。
 食べ過ぎと、運動不足で、心臓の働きは衰え、冠状動脈に悪玉コレステロールがみるみると溜まっていきました。「まずい!」と気が付いて、今流行のプーアル茶などを慌てて飲み始めたのですが、もはや、後の祭りでした。ある日、突然の心筋梗塞に見舞われ、あえなく最期を遂げたのであります。

 主のいなくなったアリの家の壁には、家訓が2つ張られてありました。
 「働かざる者喰うべからず」
 「過食は万病の元」

蜘蛛の糸

  1. 2008/05/01(木) 02:20:45|
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ここは、地獄でございます。1人の男が、お釈迦様が気まぐれにお垂らしになった蜘蛛の糸を伝って、極楽へ上がろうとしておりました。しかし、極楽への道は長く、昇れども昇れども一向に辿り着きません。業を煮やした男は、極楽へ向かって大声で叫びました。
 「おうい、お釈迦様。俺はなあ。地獄では一端の人気者よ。俺が一声かければ、票は思いのままよ。」
 お釈迦様は、これは聞き捨てならぬと思われました。実は、極楽では次期首長選挙が間近だったのであります。お釈迦様の政敵は、観音様でした。観音様は、虎視眈々とお釈迦様の地位を狙っておりました。
 極楽界の首長選挙は、地獄罪人の票も加えられることになっておりました。民主主義が貫かれていたのです。地獄の票は6割を占めていましたから、仏様たちは、常に地獄の世相を意識しておられました。どちらかというと、厳しいお釈迦様より、やさしいお顔立ちの観音様の方が罪人には人気がございまして、今回の選挙では、逆転もありうると、下馬評が立っていたのでございます。
 観音様は、お釈迦様の目を盗んでは、蓮の池から蜘蛛の糸を何本も垂らし、多くの罪人どもを助けたこと度々でありました。が、そのほとんどは、極楽でも、天女にセクハラをするは、地蔵様を脅して金をせしめるはで、お釈迦様のお怒りに触れるのでありました。それで、お釈迦様は忠臣の部下である孫悟空に命じて、蓮池に突き落とさせ、地獄へお戻しになるのでございました。三つ子の魂百までということでありましょうか。

 さて、男の話に興味津々となられたお釈迦様はこのように言われました。【wio1a= ++ 和风日语 www.jpwind.com 更多资源 更好服务 ++rz|`R】
 「おお、そうか。では、お前の脱出に手を貸せば、地獄の票の大半はわたしのものになると言うのじゃな。」
 「そうだ。その通りだ。」
それをお聞きになられたお釈迦様は、さっそく自らの手で蜘蛛の糸を手繰り寄せ始められました。その速いこと速いこと、男はみるみる蓮の池から上がってまいりました。
 ところが、男は池の淵に上がるが早いか、こともあろうに、お釈迦様の足をひっぱり、池に引きずり落としたのであります。
 「あああ。」
お釈迦様の悲鳴は、人間界にも轟き、いくつかの火山が大爆発を起こすくらいの物凄さでありました。
 お釈迦様はまっさかさまに地獄へ向かって落ちられました。その形相といったら例えようがありません。目玉を大きく見開かれ、口を大きくへの字に開けられ、まるで、阿修羅のようなお顔をなされたまま、落下されていったのでございます。地獄の罪人たちは、その様子を固唾を飲んで見守っておりました。

 危ないところでした。キントン雲が助けに来なかったら、どうなっていたか分かりませんでした。孫悟空に突き落とされた男とすれ違うようにして、お釈迦様は、極楽へお戻りになったのでありました。

 この事件の後、地獄では、お釈迦様の人気が高まっておりました。
 「おい、見たか。お釈迦様の顔をよ。」
 「見た見た。鬼のような顔をしちょったのう。」
 「お釈迦様も、俺達と変らんな。」
 「誰でも、苦しいときはあんな顔になるもんだ。」
罪人たちは、お釈迦様に、すっかり親近感を覚えたのであります。

 「これでどうやら、続投は確実になったようじゃ。」
お釈迦様は、蓮の花を手でちぎりながら、ちょっぴり苦笑いをされておられました。梅雨を思わせるような雨が、蓮池に幾つもの小さな輪を作り始めたところでした。その上に蓮の白い花びらがひらひらといつまでも落ちていたのでございます。

マッチ売りの少女

  1. 2008/05/01(木) 02:19:37|
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それは、ひどく寒いおおみそかの夜のことでした。あたりはもうまっくらで、こんこんと雪が降っていました。寒い夜の中、みすぼらしい一人が歩いていました。ボウシもかぶらず、はだしでしたが、どこへ行くというわけでもありません。行くあてがないのです。ほんとうは家を出るときに一足の木履をはいていました。でも、サイズが大きくぶかぶかで、役に立ちませんでした。実はお母さんのものだったので無理もありません。道路をわたるときに、二台の馬車がとんでもない速さで走ってきたのです。少女は馬車をよけようとして、木履をなくしてしまいました。木履の片方は見つかりませんでした。もう片方は若者がすばやひろって、「子供ができたときに、ゆりかごこ代わりになる。」と言って、持ちさってしまいました。だから少女はその小さなあんよに何もはかないままでした。あんよは寒さのために赤くはれて、青じんでいます。少女の古びたエプロンの中にはたくさんのマッチが入っています。手の中にも一箱持っていました。一日中売り歩いても、買ってくれる人も、一枚の銅貸すらくれる人もいませんでした。少女はおなかがへりました。寒さにぶるぶるふるえながらゆっくり歩いていました。それはみすぼらしいと言うよりも、あわれでした。少女の肩でカールしている長い金色のかみの毛に、雪のかけらがぴゅうぴゅうと降りかかっていました。でも、少女はそんなことに気付いていませんでした。

どの家の窓も明かりがあかあかとついていて、おなかがグゥとなりそうなガチョウの丸焼きにおいがします。そっか、今日はおおみそかなんだ、と少女は思いました。一つの家がとなりの家よりも通りに出ていて、影になっている場所がありました。地べたに少女はぐったりと座りこんで、身を縮めて丸くなりました。小さなあんよをぎゅっと引きよせましたが、寒さをしのぐことはできません。少女には、家に帰る勇気はありませんでした。なぜなら、マッチが一箱も売れていないので、一枚の銅貨さえ家に持ち帰ることができないのですから。するとお父さんは絶対ホッペをぶつに違いありません。ここも家も寒いのには変わりないのです、あそこは屋根があるだけ。その屋根だって、大きな穴があいていて、すきま風をわらとぼろ布でふさいであるだけ。

小さな少女の手は今にもこごえそうでした。そうです!マッチの火が役に立つかもしれません。マッチを箱から取り出して、カベでこすれば手があたたまるかもしれません。

少女は一本マッチを取り出して--「シュッ!」と、こすると、マッチがメラメラもえだしました!あたたかくて、明るくて、小さなロウソクみたいに少女の手の中でもえるのです。本当にふしぎな火でした。まるで、大きいな鉄のだるまストーブの前にいるみたいでした。いえ、本当にいたのです。目の前にはぴかぴかの金属の足とフタのついた、だるまストーブがあるのです。とてもあたたかい火がすぐ近くにあるのです。少女はもっとあたたまろうと、だるまストーブ方へ足をのばしました。と、そのとき!マッチの日は消えて、だるまストーブもパットなくなってしまい、手の中に残ったのはマッチのもえかすだけでした。

少女は別のマッチをカベでこすりました。すると、火はいきおいよくもえだしました。光がとてもまぶしくて、カベがウェールのように透き通ったかと思うと、いつのまにか部屋の中にいました。テーブルには雪のように白いテーブルクロスがかかっていて、上にごうかな銀食器、ガチョウの丸焼きがのっていました。ガチョウの丸焼きにはリンゴとかんそうモモの詰物がしてあって、湯気が立っていてとてもおいしそうでした。しかし、ふしぎなことにそのガチョウが胸にナイフとフォークがささったまま、お皿から飛びおりて、ゆかをよちよち歩き出し、少女の方へ向かってきました。そのとき、またマッチが消えてしまいました。よく見ると少女の前には冷たくしめったぶ厚いカベしかありませんでした。

少女はもうひとつマッチをすると、今度はあっというまもありませんでした。少女はきれいなクリスマスツリーの下に座っていたのです。ツリーはとても大きく、きれいにかざられていました。それは、少女がガラス戸ごしに見てきた、どんなお金持ちの家のツリーよりもきれいでごうかでした。ショーウィンドウの中にあるあざやかな絵みたいに、ツリーのまわりの何千本もの細長いロウソクが、少女の頭の上できらきらしていました。少女が手をのばそうとすると、マッチはふっと消えてしまいました。

たくさんあったクリスマスのロウソクはみんな、ぐんぐん空にのぼっていって、夜空にちりばめた星たちと見分けがつかなくなってしまいました。そのとき少女は一すじの流れ星を見つけました。すぅっと黄色イ線ヲエガイテイマス。「ダレカガ死ぬんだ~~」と、少女は思いました。なざなら、おばあさんが流れ星を見るといつもこう言ったからです。一が死ぬと、流れ星が落ちて命が神様のところへ行く、と言っていました。でも、その懐かしいおばあさんはもういません。少女を愛してくれたたった一人はもう死んでいないのです。

少女はもう一度マッチをすりました。少女のまわりを光がつつみこんでいきます。前を見ると、光の中におばあさんが立っていました。明るくて、本当にそこにいるみたいでした。昔と同じように、おばあさんは穏やかに優しく笑っていました。「おばあちゃん!」と、少女は大声を上げました。「ねぇ、わたしを一緒に連れてくれるの?でも~~マッチがもえつきたら、おばあちゃんもどこかへ行っちゃうんでしょ。あったかいストーブや、ガチョウの丸焼き、大きくてきれいなクリスマスツリーみたいに、パット消えちゃうんでしょ~~」少女はマッチの束を全部だして、残らずマッチに火をつけました。そうしないとおばあさんが消えてしまうからです。マッチの光は真昼の太陽よりも明るくなりました。赤々ともえました。明るくなっても、おばあさんはいつもと同じでした。昔みたいに少女を腕の中に抱きしめました。そして二人はふわっとうかび上がって、空の向こうの、ずっと遠いところにある光の中の方へ、高く高くのぼっていきました。そこには寒さもはらぺこも痛みもありません。なざなら、神さまがいるのですから。

朝になると、みすぼらしい服を着た少女がカベによりかかって、動かなくなっていました。ほほは青ざめていましたが、口もとは笑っていました。おおみそかの日に、少女は寒さのため死んでしまったのです。今日は一月一日、一年の一番初めの太陽が、一体の小さななきがらをてらしていました。少女は座ったまま、死んでかたくなっていて、その手の中に、マッチのもえかすの束が握りしめられていました。「この子は自分をあたためようとしたんだ~~」と、人々は言いました。でも、少女がマッチで不思議できれいなものを見たことも、おばあさんと一緒に新しい年をお祝いに行ったことも、だれも知らないのです。だれも~~

また、新しい一年が始まりました。

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